7.16.2010

ありがとう

朝4時に目覚める。
イースター島を旅立つ日。
まだ寝静まった街を抜けて、海沿いのAhuまで歩く。空には夜明けのマゼラン。
南の星空を目に焼き付けるように、ゆっくりゆっくり、空を見上げながら歩く。

東の空からほのかに日の気配がする頃、星空に浮かび上がる巨石のモアイ像。


夜明けの空に、この島の神様に、ありがとう。

7.15.2010

スコール

雨季のイースター島は、1日に何度も雨が降る。
スコールのように突然降り始めて、風と共に去る。
皆既日食の日の晴天は奇跡的だ。

雨降りは好きではないけれど、それでもいいことがある。
空気が洗われて風が心地いいこと。
そして、雨の数だけ虹を見られること。


水滴が燦めくように、光とたわむれるように陽光が差す。
去りゆく雨の贈り物。
弧を描く七色の光。

明日、イースター島を発つ。

7.13.2010

月の影が落ちる場所へ

皆既日食が過ぎて1日後の月。
熱狂が過ぎ去った島。



朝、夜が明ける前に目が覚めた。
まだ暗い空の下、海まで歩く。
海の向こうに太陽の気配。
星が1つ、1つと薄明に消えていく。
熱が冷めるように、波がひくようにむかえた夜明け。



次は2年後。
再び、月の影が落ちる場所へ。

7.12.2010

月と太陽が重なるとき

強い風に追い立てられるように雲が流れていき、むかえた日食。
これまで何度も見てきた日食にもかかわらず、太陽がかけ始める前から背筋に例えようもない感覚が走り始め、前進の続々感が止まらなくなってくる。
自分が立っているこの地球から太陽まで一直線。その間に月が少しずつ少しずつ進入してくる。太陽を月が蝕み始めるにつれ、意識が自分を離れて宇宙の中の地球・月・太陽を感じ始めてくる感覚。


太陽と月が完全に重なりダイヤモンドが輝き、翼を広げたようなコロナが広がるにつれて、その感覚、覚醒するような感覚は最高潮に達する。
まさに皆既日食は”見る”のではなく”感じる”現象だ。
これから何度も何度も皆既日食を追いかけ続けるだろう。
そして、その1回1回が最高の皆既日食、最高の体験だ。
月と太陽が重なるとき、意識が宇宙に広がっていく。
宇宙の中のひとり。
@Earth.

7.11.2010

星降る朝

昨日から続いた雨と風は、明け方に吹いた建物を揺らすほどの風とともに西の彼方に去っていった。





日食の始まりまであと4時間ほど。
恵みの雨が星降る朝をもたらしてくれた。

天の恵み

イースター島に到着。皆既日食まで24時間を切る中、イースター島は海も大荒れの雨降り。
幸先悪い、と考えがちなところだけど、実感としては恵みの雨。
ここ1週間ほど極めて乾燥している中で過ごしてきたこともあって、雨の湿り気が心地いい。
それに今日降るだけ降ってくれれば、明日は空気中の汚れも払われた最高の天気が期待できる。


天気の心配をしないクセが身についてる楽観主義。
明日の皆既日食、いまから体の芯がぞくぞくしてくる。

7.10.2010

すまし顔となつき顔

第一の目的地であったサンチャゴに到着。海辺の道をたどって、再び山間を抜けて首都の町へ。このたびの中で最も大きな街、というかここまでの道のりからすれば大都市にたどり着いた感がある。

サンチャゴまでの道のり、途中で犬やネコによく出会ってきた。
犬よりもネコ好きで、ネコが多い街は悪い街じゃないとの持論を持っていたりもするけれど、旅の中出会う多くの犬たちとは、なぜか仲良くなったりする。
ネコはすまし顔、犬はなつき顔。





どちらも旅先に欠かせない。

明日はいよいよ最終目的地のイースター島だ。

7.09.2010

everyday is winding road

未舗装の山岳路を走り続けた一日。山間を縫い、山の峰と谷を越えながら、すべるように前へ前へ。
極度に乾燥した道から巻き上がるホコリは、いまそこに自分がいた軌跡を残すようにたなびいていく。


走っても走ってもすれ違うクルマもない高原砂漠の道は、空の上をただ一人で独占してしまっているかのうよう。ホコリまみれ、ノドはガラガラ、ハダはカサカサ。それでも、まだまだこの世界で走り続けていたくなるような誘惑を持つ天上の世界。
世界はとてもとても美しい。

7.08.2010

ポップコーン

以前に南米を旅したときにも感じたことだけど、南米はトウモロコシの種類がとても多い。
色や形まで様々で、店先や家の軒先に多種多様なトウモロコシがぶらさがっている。
そのためか、料理への使い方も多様で、粉にして使ったり、スープに使ったり。
けれど、何よりも多く目にするのはポップコーン。



店先に、巨大なものから小さなものまでたくさんのポップコーンが並んでいる。
ほんのり甘い大ぶりのをひと袋。走り続ける旅の友に。


7.07.2010

夜明けの月

夜明けの月がまぶしいほどの鋭さで、高原の砂漠を照らしている。
日に日に細くなって行く月は、それでもこの明かりのない世界を照らすには十分な輝きで世界を際だたせている。




皆既日食まであと4日。
月を見ながら、一日一日を待ちわびている。

時を紡ぐもの

アンデスの高地を旅していると、インカ、そしてさらに古代の痕跡を目にすることがある。
たとえば、町のフトした石垣。なにげなく生活の中にあるものが、遙か昔からそのまま残されている。
人もそう。遙か昔のティワナクも、インカももうないけれど、人々の中には生き続けているんだ、と実感できる何かがここにはあるように感じる。



地に足がついて、連綿と続いている何か。
糸を紡ぐように、何百年も何千年も変わらないものが紡がれている。



7.06.2010

空に近いところ

腕時計についている気圧計は限りなく変化がない。
気圧610haあたり、標高4000mほどの道をただひたすらに南下していく。
日常の生活圏が海抜0に近いところにいる自分からすれば、4000m分だけ空に近いところをただただ空を眺めながら旅しているとも言える。
このくらい空に近くなると、空は青の深みを増し、青と紫と緑を深く混ぜ合わせたような、紺碧の空が、地平線からアタマのテッペンまで広がっている。ラジオもつけず、音楽も流さずにただひたすら空を眺め、アンデスの山々を左手に見ながら南へ、南へと走り続ける。
まだまだ先は長い。

7.04.2010

熱狂

ワールドカップサッカーの試合をスポーツバーで観戦し、ペーニャでフォルクローレを聴いた。
ワールドカップで南米のチームが立て続けに敗れたこの日、試合が終わった瞬間にどこかもの悲しげな空気が人々の表情に浮かんでいた。

アルゼンチンの試合も、パラグアイの試合も、自分たちの国の応援ではなく、”南米の”国がヨーロッパの国と戦っていることに応援の声をあげて、テレビの前は熱狂に包まれていた。
そう、まさに熱狂という言葉がふさわしいほどの盛り上がりだった。
しかし負けた。

そこには深い悲しみと表裏一体になった熱狂があった。
どこか悲しいフォルクローレのように。

7.03.2010

地球の裏側

夜と赤道を越えて、地球の裏側へ。
まあるい地球である限り、どこにいても表側だったり裏側だったり。
普段日本に暮らす人から見たらここは地球の裏側。真冬に向かう季節だ。

船旅ではないので赤道を越えてもネプチューンのお祭りをするわけではないけれど、机上の窓から見る星空は、北極を回る星々から南極を回る星々へとかわり、南十字が南半球へとむかえてくれる。

旅の途中で星を眺めていると、その昔、星を読み、風を読んで旅をした人たちに少しだけ近づけた気がする。


TRANSIT

日本から太平洋を越えて、北米大陸へ到着。ここからさらに飛行機を乗り継いでボリビアに向かう。

遠くへと旅をするときに空港での乗り継ぎで過ごす時間は、特に海外での場合、様々な国の人たちが様々な目的に向かう途中で、ホンの一瞬だけ出会う時間、そして場所だ。
ここに至るまで過ごした時間も、話す言葉も、何もかもが違うのに、旅ゆえに出会うことが出来た人もいる。
ホンのわずかな時を共に過ごして、話しをして、目を交わして、別の目的地へ。

それぞれの道。
道と道が交わる場所。
時間が重なる瞬間。

7.02.2010

トウキョウスカイツリー

予定通りの重量に収まったとはいえ、トランク20kg、ザック10kgの荷物はかなり重い。
ムシムシの新宿駅では、やたらと遠い成田エクスプレスのホームに着くまでがキツイ。
この駅構造はなにか間違ってるんじゃないだろうか。
東京の駅って拡張拡張したあげくに同じ駅かよ!ってつっこみたくなる構造になるクセがあるもんなぁ。
渋谷の埼京線ホームとかもハゲシク遠いし。

今回はこれまで導入されてからタイミング的に乗れてなかった新型N'EX。ようやく普通の電車になったって感じがする。
なにせ旧型は意味不明のシート配置でリクライニングも出来ないヘンテコ電車だったし。

ともあれN'EXに乗ってしまえば出国したも同然。ホッと一息。
スカイツリー、帰る頃にはまた少し背が伸びてるかなぁ。




出発準備

前日、というか当日の明け方になってようやく機材をひととおり組み上げての配信テストまで完了した。
もう外は明け方の空。寝る時間は取れそうにない。
今回の旅では、サンチャゴからイースター島への飛行機で重量制限がキツイ事もあって一つ一つの機材を計量しつつ全体の構成を決めるという、これまでにあまりやっていないほどの徹底的な軽量化をしている。なんとか収まったかな、という感じ。
基本の機器は、Astrotracに同架したBORGの77EDIIとSONYのCX-170。
現地からの中継にはインマルサットBGANに対応したThrane & Thrane Explorer 550を持って行って、StreamingでUSTREAMに流す予定。Streaming Modeでの速度低下が起こらなければいいんだけど。

これから寝る時間はないし、防寒具系の荷物を詰め込んで、朝のコーヒーを淹れよう。

7.01.2010

出発前日

旅の始まりはいつも徹夜明け.

出発を明日に控えても、まだまだ仕事に全力投下中なので、毎度のことながら準備は今晩徹夜でってことになりそうな気配.
今回は比較的早めに準備を始めてきたつもりだったけど、なんだかんだともう前日なんだもんなぁ.
とりあえずまだこれから手配しなきゃなものもあるので、仕事の合間にチョコチョコと進めよう.